2026年6月22日、IPA(独立行政法人 情報処理推進機構)が新試験制度のサンプル問題の公開を開始しました。2027年度(令和9年度)から始まる新制度では、長年続いてきた試験区分の枠組みが大きく変わります。データマネジメント試験の新設、ITパスポートの出題分野再編、応用情報・高度試験の統合、全区分のCBT化——本記事では、IPAが公表した最新情報をもとに「何がどう変わるのか」を整理します。
サンプル問題の公開が始まった
2026年6月22日、IPAは2027年度から始まる新試験制度のサンプル問題の掲載を開始しました。第一弾として、新設される「データマネジメント試験(仮称)」の科目A・科目Bのサンプル問題(PDF)が公開されています。
その他の試験区分は現時点では「準備中」で、IPAは2026年度の夏頃を目途に一通り公表する予定としています。シラバス案についても、区分ごとに暫定版の段階から順次公開される見込みです。新制度の輪郭がいよいよ具体的に見えてきた段階だと言えます。
背景: この見直しは、経済産業省とIPAが「Society 5.0時代のデジタル人材育成に関する検討会 報告書」(2025年5月公表)を踏まえて進めてきたもので、2026年3月31日に検討状況が公表されていました。今回のサンプル問題公開は、その具体化の一歩です。
見直しの5つのポイント
IPAが挙げる今回の見直しのポイントは、大きく次の5つです。
AI活用で求められる、主にビジネス部門向けのデータの整備・管理スキルを評価する試験。幅広いビジネスパーソンを想定し、ITパスポート試験の「次のステップ」として位置づけられます。
出題分野を従来の「ストラテジ系・マネジメント系・テクノロジ系」から、「ビジネス」「テクノロジ」「セキュリティ・倫理」へ再整理。DXのマインド・スタンスやデータマネジメント基礎を追加し、AI時代に対応したセキュリティ・倫理を強化します。
現在の応用情報技術者試験と高度試験を大括り化して再編。「マネジメント領域」「データ・AI領域」「システム領域」の3区分を設けます。今回最も大きな構造変更です。
科目Aの出題範囲体系の変更と、科目Bの出題範囲の一部変更。これは技術動向や環境変化を踏まえた表記変更等であり、問う知識・技能の範囲そのものに変更はないとされています。
科目Aの出題範囲体系の変更、科目Bの出題範囲の一部変更(マネジメント分野の強化等)、そして試験時間および科目Bの出題形式の変更が行われます。
新しい試験区分は全8区分
新制度では、現行の枠組みを再編して8つの試験区分になります。「継続」「内容変更」「新設」の区分とともに、現時点で示されている出題構成を整理しました。
| 試験区分 | 区分 | 試験時間・出題数(案) |
|---|---|---|
| ITパスポート試験 | 内容変更 | 120分/100問 |
| データマネジメント試験(仮称) | 新設 | 科目A・B 合わせて120分科目A 48問/科目B 12問 |
| 情報セキュリティマネジメント試験 | 継続 | 科目A・B 合わせて120分科目A 48問/科目B 12問 |
| 基本情報技術者試験 | 継続 | 科目A 90分/科目B 100分科目A 60問/科目B 20問 |
| プロフェッショナルデジタルスキル(マネジメント)試験(仮称) | 新設 | A-1 90分/A-2・B 合わせて120分A-1 60問/A-2 23問/B 12問 |
| プロフェッショナルデジタルスキル(データ・AI)試験(仮称) | 新設 | A-1 90分/A-2・B 合わせて120分A-1 60問/A-2 23問/B 12問 |
| プロフェッショナルデジタルスキル(システム)試験(仮称) | 新設 | A-1 90分/A-2・B 合わせて120分A-1 60問/A-2 23問/B 12問 |
| 情報処理安全確保支援士試験 | 一部変更 | A-1 45分/A-2 35分/B 120分A-1 30問/A-2 25問/B 12問 |
ここがポイント: これまで個別に存在していた応用情報技術者試験と高度試験(ITストラテジスト、システムアーキテクト、プロジェクトマネージャ、ネットワーク/データベーススペシャリストなど)が、「プロフェッショナルデジタルスキル試験」の3領域に集約されます。専門性の見せ方が「区分名」から「領域」へと変わる、大きな転換です。
いつから始まる?開始スケジュール
新制度への移行は2027年度(令和9年度)から。区分によって開始時期が分かれます。
- 2027年度 春頃 ITパスポート試験/情報セキュリティマネジメント試験/基本情報技術者試験
- 2027年度 夏頃〜秋頃 データマネジメント試験(仮称)/プロフェッショナルデジタルスキル試験(各区分)/情報処理安全確保支援士試験
- 現行制度の終了 現行の試験制度は、2026年度の試験実施をもって終了する予定です。
つまり、現行制度で受験できるのは2026年度が最後。現行の応用情報・高度試験を狙っている人にとっては、2026年度が一つの区切りになります。
実施方式・回数の変更
すべての区分がCBT方式に
新制度では、全ての試験区分をCBT(Computer Based Testing)方式で実施予定です。従来の紙の筆記試験から、テストセンターでのコンピュータ受験へ完全に移行する形になります。
実施回数
- ITパスポート・情報セキュリティマネジメント・基本情報技術者:これまで同様、通年で実施予定。
- 新設のデータマネジメント試験・プロフェッショナルデジタルスキル試験:実施時期・期間の詳細は検討中。
免除制度・経過措置
制度が変わるときに気になるのが「これまでの合格・科目免除はどうなるのか」という点です。現時点でIPAが示している方針は次のとおりです。
- プロフェッショナルデジタルスキル試験(各区分)には、現行の高度試験と同等の免除制度を設けることを検討。
- 経過措置として、現行の高度試験・支援士試験で一部科目の免除要件を満たした場合、一定期間は新試験でも一部科目を免除することを検討。
- 基本情報技術者試験の科目A免除制度、情報処理安全確保支援士試験の科目A-2免除制度は、2027年度の新制度でも変更を予定していない。
受験対策ポイント: これらは検討段階の方針です。免除狙いで学習計画を立てている方は、今後のIPAの正式発表を必ず追いかけましょう。
学習アプリで過去問演習
新制度でもITパスポート試験は継続します。出題分野の整理は入りますが、基礎知識・用語の学習が無駄になることはありません。今のうちに過去問演習で土台を固めておくのがおすすめです。
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まとめ:受験者が今やるべきこと
2027年度の新制度は、IPAの試験区分体系としては平成21年(2009年)以来となる大きな再編です。要点を3つに絞ると次のようになります。
- 新設2系統:データマネジメント試験と、応用情報・高度試験を統合したプロフェッショナルデジタルスキル試験(3領域)。AI・データ利活用が制度の中心テーマに。
- 全区分CBT化:紙の試験は終了し、コンピュータ受験へ。
- 現行制度は2026年度で終了:現行の区分名で合格を取りたいなら2026年度が最後のチャンス。
すでに学習を進めている方は、2026年度内の受験で現行制度を取り切るか、新制度に合わせて準備するかを早めに判断するのがおすすめです。基本情報技術者・情報セキュリティマネジメント・ITパスポートは新制度でも継続するため、これらの学習は新旧どちらでも無駄になりにくい領域と言えます。
新試験のシラバス案やサンプル問題は今後順次公開されます。本記事も最新情報が出次第アップデートしていく予定です。
・新試験制度のサンプル問題について(2026年6月22日公開)
https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/henkou/2026/20260622.html
・情報処理技術者試験及び情報処理安全確保支援士試験の見直しの検討状況について(2026年3月31日公開/4月28日更新)
https://www.ipa.go.jp/shiken/syllabus/henkou/2025/20260331.html