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非公式・用語解説

チャンク

Chunk/ちゃんく
第3章 3-32025.10 追加

RAGがうまく動かないとき、原因はモデルではなく「文書の切り方」にあることがよくあります。その切り分けた単位がチャンクです。

本サイトはGUGA(生成AI活用普及協会)とは関係のない非公式の学習コンテンツです。試験の最新情報は必ず公式サイトでご確認ください。用語名の一覧は公式シラバスの章立てに沿っていますが、見出し・解説はすべて当サイトが独自に書いたものです。

意味・解説

チャンクとは、RAGで検索できるようにするために、長い文書をあらかじめ分割した一つひとつの断片のことです。検索して取り出される単位も、モデルが読む単位も、このチャンクです。

「chunk」はもともと「かたまり」を意味する一般的な語で、通信やデータ処理でも使われます。ただし生成AIパスポートの文脈では、RAGの前処理としての分割単位を指します。

くわしく — なぜ切り方が結果を決めるのか

RAGの下準備は、おおよそこう進みます。

  1. 元の文書をチャンクに分割する
  2. 各チャンクをベクトルに変換する(埋め込み)。
  3. 変換したベクトルをベクトルデータベースに格納する。
  4. 質問が来たら質問もベクトルにし、近いチャンクを取り出してプロンプトに添える。

ここで効いてくるのが、1チャンクにどれだけの情報を入れるかです。チャンクは検索の最小単位なので、切り方はそのまま「何が取り出せるか」の上限になります

小さすぎるとどうなるか

断片が短いほど1件の意味は絞られますが、主語や条件が別のチャンクに取り残されます。「当社の売上は前四半期比で3%成長した」という一文だけが切り出されると、どの会社のいつの話なのかが本文から失われます。うまく取り出せたとしても、それだけでは答えを組み立てられません。Anthropicの技術記事も、この「文脈が壊れる」問題を、チャンク単独では意味が定まらない例として説明しています。

大きすぎるとどうなるか

逆に1チャンクが長いと、複数の話題が同居します。ベクトルはその塊全体の平均的な話題を表すようになり、特定の質問との近さが薄まります。結果として、本当に関係のあるチャンクが検索の上位に来ない——つまり検索精度が落ちます。加えて、プロンプトに詰め込む文字数が増えるぶんコストも処理時間も増え、関係ない記述がノイズとして紛れ込みます。

実務では、数百トークン程度から始めて、対象文書の性質を見ながら調整するのが一般的です。2026年8月時点で「この値なら常に正解」と言える普遍的なサイズはありません。契約書のように条ごとに完結する文書と、物語のように連続する文書では、適した切り方が違うからです。

オーバーラップという緩和策

境界の問題をやわらげる定番がオーバーラップ——隣り合うチャンクの端を少し重ねて切る方法です。文の途中で切れたり、「これ」「同項」といった指示語の指す先が向こう側に行ってしまったりする事故を減らせます。ただし重ねる量を増やすほど同じ文が複数のチャンクに入るので、インデックスが太り、検索結果に似た断片が並んで多様性が落ちます。取りこぼしを減らす代わりに重複が増える、という交換条件です。

長さ以外の工夫

そもそも文字数で機械的に切らず、文書の構造で切るほうが効くことが多いです。見出し、段落、箇条書き、条番号といった区切りを使い、表は行の途中で分断しない。さらに、各チャンクの先頭に「どの文書のどの節か」を書き足しておくと、断片だけになっても位置が分かります。

具体例

  • 社内規程のPDF: 「第◯条」ごとに1チャンク。条文が丸ごと入るので、「休職の要件は?」という質問と素直に対応します。
  • FAQ集: 1問1答で1チャンク。質問文どうしを比べる形になり、相性が良い切り方です。
  • 議事録: 発言のかたまりで切りつつ、各チャンクの冒頭に日付と会議名を必ず入れておく。断片で取り出されても、いつの何の話か分かります。
  • 製品マニュアル: 手順の途中で切ると危険なので、手順ブロック単位で切り、前後にオーバーラップを持たせる。

よくある誤解

  • 「細かく切るほど検索精度が上がる」——上がりません。細かくすると1件あたりの文脈が失われ、取り出せても答えられない断片が増えます。精度は長さの単調な関数ではなく、山なりです。
  • 「チャンクサイズさえ調整すればRAGは良くなる」——分割は要素のひとつです。埋め込みモデルの選択、キーワード検索との併用、取り出した候補の並べ替え(再ランキング)も同じくらい効きます。
  • 「分割したら元の文書は不要」——不要になりません。出典を示したり、前後を追加で読ませたりするために、元文書とチャンクの対応は残しておく必要があります。
  • 「チャンクは生成AI専用の用語」——一般的な語です。ただし試験ではRAGの文脈で問われます。
  • 「オーバーラップは大きいほど安全」——重複が増えて索引が膨らみ、検索結果が似たものばかりになります。

試験での位置づけ

チャンクは、GUGAシラバス第4版(2026年2・4・6・8・10月試験向け/改訂日 2025年10月1日) の第3章 3-3「RAG」に置かれています。この節は「RAG」「チャンク」「ベクトルデータベース」の3語だけで構成されており、3語をひとつの流れとして理解しているかが問われる作りになっています。文書を切って(チャンク)、ベクトルにして貯めて(ベクトルデータベース)、質問時に引いて生成に混ぜる(RAG)——この順路で言えれば十分です。

チャンクは2025年10月1日改訂で追加された語です。同じ節のRAG・ベクトルデータベースも同時に追加されており、3-3 は改訂で新しく立った節にあたります。改訂で入った24語のうちの3語がここに集中しているため、章全体の分量に比べて出題比重は軽くないと見ておくのが妥当です。

なお、RAGとベクトルデータベースについては当サイトのITパスポート用語辞書に既存の解説ページがあります。3語まとめて確認するときはそちらも併せてどうぞ。

例文

社内規程をRAGで検索できるようにする際、条文単位でチャンクを切り、各チャンクの先頭に規程名と条番号を付けたところ、回答に出典を添えられるようになった。

関連用語

リンク先は、当サイトのITパスポート用語辞書の既存ページか、この学習ノート内の解説ページだけです。解説を用意していない語にはリンクを張っていません。

出典

本ページの記述は、以下の一次情報を2026年8月6日に確認したうえで、当サイトが独自に書き起こしたものです。GUGAの公式シラバスから借りているのは用語名と章立ての事実のみで、学習項目名や説明文を転記したものではありません。

  1. Patrick Lewis ほか「Retrieval-Augmented Generation for Knowledge-Intensive NLP Tasks」(2020年、NeurIPS 2020): https://arxiv.org/abs/2005.11401(2026年8月6日 閲覧)。RAGの原論文で、外部知識を検索して生成に用いる枠組みの出典です。
  2. Anthropic「Introducing Contextual Retrieval」(2024年9月19日公開): https://www.anthropic.com/news/contextual-retrieval(2026年8月6日 閲覧)。チャンクの一般的な大きさ(数百トークン程度)、分割によって文脈が失われる問題、チャンク先頭に文脈を付け足す手法を参照しました。
  3. GUGA「生成AIパスポート試験 概要」: https://guga.or.jp/outline/(2026年8月6日 閲覧)。

製品・仕様に関する記述はいずれも2026年8月時点のものです。生成AIをめぐる状況は変化が速いため、受験前には必ず最新の情報をご確認ください。

このページについて

本サイトは、生成AIパスポート試験を実施する一般社団法人 生成AI活用普及協会(GUGA)とは関係のない、非公式の学習コンテンツです。GUGAの監修・認定・提携を受けたものではありません。試験の最新情報は必ず公式サイトでご確認くださいGUGA公式「生成AIパスポート試験 概要」生成AI活用普及協会(GUGA)