20人に1人──意外と身近な色覚の多様性

日本人男性の約5%(20人に1人)、女性の約0.2%が先天色覚異常を持つとされています(公益社団法人 日本眼科医会)。1クラス35人であれば、男子に1人いてもおかしくない計算です。決して珍しいことではありません。

2003年に学校での色覚検査が事実上廃止され、2014年に「希望者への個別検査」として再開されました。しかし、本人も保護者も色覚特性に気づいていないケースは少なくありません。

教員が色覚特性に配慮せずに板書や教材を作ると、特定の子どもにとって非常に見づらい状況が生まれます。たとえば、赤チョークで書いた重要ポイントが白チョークの文字と区別しにくかったり、プリントの赤い丸が背景に溶け込んでしまったり。

大切なのは、「色が見えない」のではなく「色の区別がつきにくい」という正しい理解です。

なぜ色覚の多様性を「体験」する必要があるか

色覚特性のある人の見え方は、そうでない人にはなかなか想像しにくいものです。「赤と緑が区別しにくい」と言葉で聞いても、実際にどう見えているのかはわかりません。

色覚特性にはいくつかのタイプがあります。P型(赤系統の感度が低い)とD型(緑系統の感度が低い)では見え方が異なり、赤と緑、赤と茶色、ピンクと灰色、緑と橙など、区別しにくい色の組み合わせもそれぞれ違います。

カラーユニバーサルデザイン(CUD)の基本原則は、色だけに頼らない情報伝達です。形や文字、模様など、色以外の手がかりも合わせて使うことで、誰にとってもわかりやすい教材や掲示物になります。

聴覚だけでなく視覚のアクセシビリティにも配慮することは、すべての子どもが学びやすい環境をつくる上で欠かせません。まなびパレットのすべてのツール・ゲームでは、CUD配慮の配色を採用しています。

「いろのせかい」とは

まなびパレット内にある無料のブラウザツールです。インストール不要・会員登録不要で、スマホ・タブレット・PCから約3分で体験できます。

「いろのせかい」は3つのミニゲームで構成されており、遊びながら自分の色の見え方の傾向を知ることができます。

ゲーム1: いろならべ
色タイルを順番に並べ替えるゲームです。虹の順番、赤のグラデーション、緑のグラデーションなど5種類のチャレンジがあります。ドラッグ&ドロップやキーボード操作に対応しており、各ラウンドの正解率がパーセントで表示されます。
ゲーム2: なかまはずれ
3×3のマスに並んだ色タイルの中から、1つだけ違う色を探すゲームです。赤緑系や青紫系など、色覚特性に関連するパターンが出題されます。回答時間も計測され、間違えた場合は正解の位置がハイライトされます。
ゲーム3: おなじいろ?
2つの色が並んで表示され、「同じ色か、違う色か」を判断するゲームです。彩度や明度の微妙な違いを見分ける問題が出題されます。

3つのゲームを終えると、結果画面にレーダーチャートが表示され、赤橙・黄緑・青紫・明度の4カテゴリで自分の色の識別力がわかります。星評価や総合評価に加えて、得意な分野や苦手な分野についての解説も表示されます。

なお、このツールは医学的な診断ではありません。結果画面にも「気になる点がある場合は眼科を受診してください」と明記されています。あくまで色覚の多様性を「体験的に知る」ためのツールです。

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教室での活用例

教材・プリントのチェック
自作のプリントやスライドを「いろのせかい」で体験した後に見直すと、「この赤い文字、見分けにくい人がいるかもしれない」という視点が生まれます。赤で丸をつける代わりに二重丸にする、色だけでなく下線も引くなど、ちょっとした工夫で配慮が進みます。
道徳・人権教育の授業
「人によって見え方が違う」ことを体験的に学ぶ授業に活用できます。全員で「いろのせかい」を体験した後、「どんな場面で困ることがあるだろう?」「どうすれば誰にとってもわかりやすくなる?」と話し合うことで、多様性の理解が深まります。
掲示物の点検
教室や廊下の掲示物を点検する活動に組み合わせると、子どもたち自身がCUDの実践者になれます。「この赤い文字、背景と見分けにくくない?」と、自ら気づける力を育てられます。
理科・美術の授業との連携
理科の色の三原色や光の学習、美術の配色学習と組み合わせることで、「色の科学」と「色のアクセシビリティ」を一緒に学べます。

教員・保護者へのアドバイス

色覚特性は「障害」ではなく「多様性」です。ネガティブなラベルを貼らず、「見え方が人それぞれ違う」という前向きな文脈で伝えることが大切です。

カラーユニバーサルデザイン(CUD)の基本4原則を意識するだけで、教室の環境は大きく変わります。

板書の工夫としては、赤チョークの代わりに黄色チョークを使うだけで視認性が大幅に向上します。白チョークとの組み合わせでも、黄色なら多くの人にとって区別しやすい色です。

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